2025.10.24タイムレスな子供の教育
【第1回】AI時代を生き抜く-AIに仕事は奪われる?予言はもう現実に-【文京区・新宿区のプログラミング教室講師の解説】
こんにちは、タイムレスエデュケーションの鈴木です。私たちは、東京・文京区と新宿区で小学生から高校生までを対象にプログラミング教育を行っています。保護者の方などとお話ししていると、「AIが登場して、子どもの将来の仕事はどうなるのだろう?」という声をよく耳にします。けれど本当の問題は、“AIが登場したこと”ではなく、“それをどう使うか”にあります。
AIとともにどのように生きて、どう活躍できるのかをテーマに全5回の記事を書かせていただきます。ぜひご覧ください。
AIに仕事は奪われる?5年前の予言が、今まさに現実になっている理由

皆様、5年ほど前のことを覚えていらっしゃいますでしょうか。2020年を目前にした頃、世間では「2025年、仕事の半分がAIに代替される」「2045年、シンギュラリティ(技術的特異点)が到来する」といった未来予測が、ニュースや書籍を賑わせていました。こうした議論の背景には、オックスフォード大学の研究(冒頭1ページ)による「今後数十年で職業の約半分が自動化の影響を受ける可能性がある」という分析や、文部科学省がまとめた資料の中で示された「2025年ごろにAIが仕事を代替する」という試算などがあります。正直なところ、当時はどこか遠い未来の話、まるでSFの世界のように感じられませんでしたか?「自分の子どもが大人になる頃には、世の中は変わっているのかもしれないな」と、漠然としたイメージはあっても、差し迫った現実として捉えるのは難しかったかもしれません。
しかし、2025年も終わろうとしている今、その「予言」は、私たちの想像をはるかに超えるスピードで、すでに一部現実となっています。この記事から始まる全5回の連載では、この急激な社会の変化の本質と、その中で私たちの大切な子どもたちが、未来をたくましく、そして幸福に生き抜くために本当に必要な力とは何かについて、皆様と一緒に考えていきたいと思います。
「安定」の象徴だった巨大IT企業で起きていること

まず、目を向けていただきたいのが、アメリカの巨大IT企業、いわゆるGAFAM(Google, Amazon, Facebook/Meta, Apple, Microsoft)で起きている地殻変動です。2023年から2024年にかけて、これらの企業は立て続けに「数万人規模」という、これまででは考えられなかった規模の大量解雇を発表・断行しました。かつては、世界中の優秀な人材が集まる「安定」と「成功」の象徴だったはずの彼らの職場で、一体何が起きているのでしょうか。これは、単なる不景気による一時的な人員整理ではありません。その証拠に、彼らは人員を削減する一方で、AI(人工知能)の分野には、年間で数兆円規模という投資を続けています。
つまり、これは「企業が求める人材のスキルセットが、根本的に変わり始めた」という、極めて重要な構造変化のサインなのです。これまでのビジネスで高い成果を上げてきた部門や、優秀な実績を持つ社員でさえも、会社の新しい戦略(AI中心の事業展開)と合致しなければ、レイオフ(解雇)の対象となる。スタンフォード大学やMITといった世界最高峰の学歴を持つエンジニアでさえも、決して例外ではない。それが、今、世界最先端で起きている現実です。
企業はもはや、「言われたことを正確にこなす優秀な人材」を求めてはいません。そうした仕事は、ますます高性能になるAIが、人間よりも速く、安く、正確にこなせるようになっていくからです。
対岸の火事ではない、日本の未来
「それはアメリカの話でしょう?」
「日本は終身雇用が根強いから大丈夫」
そう思われるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。振り返ってみれば、アメリカで生まれたビジネスモデルや働き方の波は、常に数年の時差を経て、確実に日本にも押し寄せてきました。成果主義の導入、IT化の推進(DX)、そして近年のリモートワークの普及も、すべてアメリカが先行していました。そして、その波はすでに来ています。
日本のメガバンクでは、AIによる事務作業の自動化で、数千人規模の業務量が削減されたという報告があります。AIによる業務効率化のインパクトはすでに現れています。例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)では、事務や営業といった幅広い銀行業務に生成AIを導入することで、月に22万時間以上の業務削減効果が見込まれると試算されています(日本銀行FinSysレポート掲載、NTTデータ試算 21ページ)。これは年間に換算すると、約1,300〜1,500人分の労働量に相当します。
また、SMBCグループでも2017年にRPAを導入して以降、2022年度末までの6年間で累計600万時間弱の業務削減を達成しています(SMBCグループ公式発表)。これは単純換算すると延べ3,000人以上の1年分の労働量に相当し、平均しても毎年500人規模の業務が自動化されてきた計算になります。
私たちの子どもが大学を卒業し、社会人としての一歩を踏み出す10年後、15年後。その頃には、日本でも「AIを使いこなせること」が、一部の専門職だけでなく、あらゆる職業における”当たり前”のスキルになっていることは、想像に難くありません。その時、お子様は、自分の能力を最大限に発揮できるだけの準備ができているでしょうか。
変化は「危機」ではなく「好機」である
ここまで、少し厳しい現実についてお話ししてきました。しかし、私たちは、いたずらに未来への不安を煽りたいわけではありません。むしろ、逆です。未来を悲観する必要は全くありません。変化の本質を正しく理解し、今から備えれば、この大きな波は、お子様にとって最高の「チャンス」になります。なぜなら、社会が大きく変わる時というのは、これまでの古い価値観や常識が通用しなくなり、新しい才能や能力が輝く時代でもあるからです。

もちろん、学校で学ぶ知識やテストで良い点を取ることも、お子様の努力の証であり、とても大切です。しかし、AIが世界中の知識に一瞬でアクセスできるようになった今、それだけが「優秀さ」の絶対的な指標となる時代は、終わりを告げようとしています。むしろ、AIにはできない、「複雑な問題を解決するために筋道を立てて考える『論理的思考力』」や「自分だけのアイデアを考え出す『創造力』」の価値が、かつてないほど高まっているのです。
私たちタイムレスエデュケーションでは、この「考える力」そのものを育むことこそが、これからの時代を生きる子どもたちへの必要な教育だと考えています。

では、私たちは子どもたちのために何をすべきなのでしょうか?そのヒントは、この変化によって生まれる「新しい世界のルール」の中に隠されています。
次回は、この新しい世界で生まれる「AIを使いこなす人」と「AIに使われる人」──残酷なまでに分かれる「二つの未来」について、さらに詳しくお話しします。ぜひ、次回の更新を心待ちにしていただければ幸いです。

最後に
タイムレスエデュケーションは、文京区茗荷谷・本駒込・千駄木、新宿区下落合を拠点に、「考える」「創る」「伝える」力を育む小中高生向けプログラミング教室です。当教室はお子さまが「誰にも奪われない強み」を見つけ、自分の意思で未来を選べるようになるための教室です。毎回の授業で「探究→創造→発信」をくり返す構造化カリキュラムを通じて、「論理的思考力」「表現力・創造力」を育みます。秋の無料体験会も開催致しますので、ご興味のある方はぜひお申し込みください。心よりお待ちしております。
