2026.06.26ブログ
【最終回】遊びの共有が他者への想像力を育むーCreative Learning Spiral:「試す&共有する」編【文京区・新宿区のプログラミング教室】
こんにちは!タイムレスエデュケーションの日高です。前回の記事では、マサチューセッツ工科大学のミッチェル・レズニック教授が提唱した考え方「Creative Learning Spiral(クリエイティブ・ラーニング・スパイラル)」の4つのフェーズの内、2つ目の「作る」について深堀りしました。
考える(Imagine)→作る(Create)→試す(Play)→共有する(Share)
本連載の最終回となる今回の記事では、3つ目のフェーズ「試す」と最後のフェーズ「共有する」について紐解いていきます。「試す」フェーズは、苦労して形にした作品を実際に動かして遊ぶ、子どもたちにとってワクワクする時間です。プログラミングなど創造的な学びの世界においては、とりあえず完成という状態は決してゴールではなく、むしろそこからが新しい実験のスタートなのです。好奇心の赴くままに自分でとことん遊び尽くすと、子どもたちの心には次第に「これを見て!」という自然な欲求が芽生えてきます。この湧き上がる思いこそが、学びを外の世界へと広げていく最終フェーズ「共有する」への大切な入り口となります。それでは、完成した作品を起点にしてさらに探究心を深めていくこの2つのプロセスについて、詳しく見ていきましょう。
試すことで得られる学び
前回の記事でご紹介した「作る」フェーズが、理想の完成形を目指してエラーという壁を乗り越える努力の時間だったとすれば、今回の「試す」フェーズは真逆と言っても過言ではありません。このフェーズは、苦労して思い通りに動くようになった作品を、あえて壊していじくり回すというイタズラ心にあふれた時間なのです。
例えば、プログラミングでアクションゲームを完成させて、主人公がジャンプできるようになったとしましょう。この段階から「試す」フェーズは始まります。「プログラムの数字を書き換えて、ジャンプの高さを100倍にしてみたらどうなるんだろう?」「マイナスの数字を入れたら地面に潜るかも!」と、あえて元の設定を色々と変えてみます。そして、ゲームの中でどのような変化が起きるのかを観察します。このような子どもの行動は、大人の目から見れば、完成したものを壊してふざけているようにしか見えないかもしれません。しかし、実はゲームを様々な設定で試すこの時間が、深い学びを生み出しています。数値を大きくすると予想以上に高く飛ぶ、マイナスの値を入れると逆方向に動くといったプログラムの論理的な構造やコンピュータの仕組みを、先生に教え込まれるのではなく、自分自身の体感として深く理解していくのです。

子どもたちは「もしこうしたらどうなるだろう?」という疑問や好奇心を出発点にして、実験と検証を繰り返します。これはプログラミングにおける「試す」の本質であり、子どもの探究心を底なしに引き出す強力な原動力となります。そして、自分だけの世界でこのワクワクする実験を味わい尽くした時、子どもたちの心には「これで誰かと一緒に遊びたい!」という新たな欲求が自然と湧き上がってきます。この思いが、学びを他者へと広げていく最終フェーズ「共有する」への扉を開きます。
これ見て!から始まる共有の魔法
自分一人でプログラムをいじくり回し、想定外のバグすらも新しい遊びとして楽しみ尽くした子どもたちは、やがて画面から顔を上げます。そして、目を輝かせながら「ねえ、これやってみて!」「すごい動きになったから見て!」と、自分の作品を誰かに見せようとします。この自然な欲求から始まるのが、クリエイティブ・ラーニング・スパイラルの最終フェーズである「共有する」です。
プログラミングと聞くと、パソコンに向かって一人で黙々と作業するイメージがあるかもしれません。しかし、創造的な学びにおいて、他者との関わりは必要不可欠な要素です。自分が作ったゲームを友達や家族にプレイしてもらうと、一人で画面に向かっている時には決して得られなかった、「他者の感情の揺れ」という化学反応が起きます。
「うわ、敵の動きが速すぎて避けられない!」「この隠しボタンは面白すぎる!」といったようなリアルな反応は、子どもにとって何よりの報酬です。そして、これは自分のアイデアが世界に通用したという強烈な自信に繋がります。このようなフィードバックが、「よし、次はもっとすごいものを作ろう!」という想いへの強力な燃料となるのです。
遊ぶ側から楽しませる側へ
本連載の第2回の記事では、日常の不満を起点にして新しい仕組みを考えることで、設計者へと視点が変わるプロセスについて話をしました。しかし、自分の作品を誰かと共有した瞬間、子どもたちの内面ではそれとは別に劇的な意識の変化が起こります。それは、作品を作る時の基準が「自分が楽しいかどうか」から、「相手が楽しめるかどうか」へと切り替わる感情面での大きな進化です。

最初は自分のために作っていたゲームも、そのゲームで誰かに遊んでもらうことで「最初のステージは難しすぎたから、ヒントが出る仕組みを追加してあげよう」「ここで急に音を鳴らしたら、きっと大笑いしてくれるはず!」といったような考えが生まれます。これは作品の共有が、他者の視点に立ちながら、様々な工夫を自発的に考え始めるきっかけになったからです。このユーザー目線で見る想像力は、プログラミングの枠を超えて、将来どのような分野に進んでも必要とされる極めて重要な力となります。
そして、子どもの「誰かを楽しませたい!」という気持ちをさらに強めるのが、身近な大人からのフィードバックです。実際に遊んでみた家族が、一人のプレイヤーとして素直な感想を伝えるだけで、子どもは確かな手応えを感じます。周りにいる大人が良きユーザーとなって反応することで、子どもたちに「次はどんなもので喜ばせようか?」という気持ちを抱かせるのです。そして他者のフィードバックを吸収した子どもたちは、再び最初のフェーズである「考える」へと向かいますが、その視座は以前よりも格段に高くなっています。こうして一つ上の次元へとスパイラルを登っていくことで、子どもは更に成長していきます。
さいごに
これまでにクリエイティブ・ラーニング・スパイラル(考える→作る→試す→共有する)の各フェーズについて紐解いてきました。第1回と第2回の記事では、子どもたちのゲームへの熱中や、日常のちょっとした不満が、未知の時代を切り拓く創造力の芽になり得ることについて話をしました。そして前回と今回の記事では、作品を作り、試して、共有するプロセスを経て、子どもたちの視点が大きく変わることについても説明しました。この学びのサイクルは、プログラミングの世界だけでなく、将来お子様がどのような道へ進むとしても生涯にわたって彼らを支える確かな土台となります。
当教室でも、テキスト通りに正しいプログラムを作って「はい、完成。次の課題へ行きましょう」と急がせることは決してありません。納得いくまで試す時間を十分に確保して、出来上がった作品を仲間や先生と共有する時間をとても大切にしています。自由に試行錯誤し、互いの作品から刺激を受け合える環境こそが、真の探究心を育むと信じているからです。
保護者の皆様には、お子様の試行錯誤を温かく見守って、時には最初の良きプレイヤーとしてお子様が作った作品を楽しんでいただければ幸いです。本連載が、お子様の無限の可能性を信じ、未来のクリエイターを育てるためのヒントになれば嬉しく思います。4回にわたる連載を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。次回の記事も、どうぞ楽しみにお待ちください。
タイムレスエデュケーションは、東京都文京区小石川、新宿区下落合にて、子供向けプログラミング&ロボット教室を開校しております。当教室はお子様が「誰にも奪われない強み」を見つけ、自分の意思で未来を選べるようになるための教室です。毎回の授業で「探究→創造→発信」を繰り返す構造化カリキュラムを通じて、「論理的思考力」「集中力」「表現力・創造力」「問題解決力」を育みます。6〜7月にかけて夏の無料体験会を開催しますので、ご興味のある方は是非お申し込みください。心よりお待ちしております。
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