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2023.04.28タイムレスな子供の教育

【Part1】通信プロトコルの階層モデルについて(高校情報I)

こんにちは!タイムレスエデュケーションの鈴木です。毎月「高校情報Ⅰ」に沿って記事を投稿しておりますが、先月は「コンピュータとネットワークについて」を紹介させていただきました。本日はそのネットワーク通信でのプロトコル、つまりルールについて書かせていただきます。なんとなく聞いたことあるワードや普段使っているシステムの詳細を少しでも理解してもらえたらと思います。少し長くなってしまうため、今月4階層モデルのうち4層「アプリケーション層」と3層「トランスポート層」について紹介させて頂きます。


プロトコル


まずプロトコルとはなにかについてですが、コンピュータネットワークで通信を行う時に、送信側と受信側の間で通信手順やデータの形式を取り決めることを言います。このルールがないとどこにどの方法を使って送ればよいか分かりませんね。これは日常で置き換えても同じで、誰かに荷物を送る時には住所が必要であり、決まったルールに沿って手続きをして送りますね。通信も同じようにルールに則ってデータを転送しています。


TCP/IP


TCP/IPとは、コンピュータネットワークにおいて、標準的に利用されている通信プロトコルのセットです。通信の中心的な役割である「TCP」と「IP」から「TCP/IP」と呼ばれていて、通信でよく利用するプロトコル郡(IP,TCP,UDP,HTTPなど)を総称しています。TCP/IPの通信では、データをパケットに分割し、4階層モデルのそれぞれの階層で、送信元、宛先、パケットの順番などを示すヘッダと呼ばれる管理情報が付加されます。受信されたデータはヘッダの情報に基づき復元されます。



交換方式


データを送信する方法として、大きく二つの方式があります。「パケット交換方式」と「回線交換方式」です。それぞれについて簡単に説明をします。


◆パケット交換方式


パケットを用いてデータをやり取りする通信方式で、一つの回線を複数のコンピュータで共有するため、複数の接続先と同時にデータが送受信できます。メリットとしては、回線に障害が起きても別の回線を探してデータが送れます。デメリットとしては、利用者が増えると混雑の影響を受け、通信速度が遅れます。私たちの日常の中で夕方や夜に回線速度が遅くなることがあると思いますが、あれはパケット交換方式によるものなんですね。



◆回線交換方式


一つの回線を占有して通信する方法で、複数の宛先と通信できるよう回線交換機を用いますが、通信中は他の機器とは接続ができません。例としては固定電話などが挙げられます。メリットとしては、回線を占有しているので、通信速度やセキュリティが優れています。デメリットとしては、同時に通信が不可能で、障害発生時に迂回経路がありません。また、回線を占有するので別途契約が必要でパケット交換方式と比べてコストが高くなります。



4階層モデル


TCP/IPの役割を以下の図のように階層に分けています。これを4階層モデルといい、概要については図に記載しています。このように4階層モデルに分ける理由は、複雑なネットワーク上の通信を単純化できるだけでなく、各階層が独立しているため、各階層の変更が他の階層に影響を及ぼさないことが大きく挙げられます。例えば、1層ネットワーク・インターフェース層では物理的な通信手段の仕様を決めていますが、その手段が変わったとしても他の層には影響を及ぼさずに、他層のアプリケーションを利用することができます。WiFiやLANケーブルの規格が新しくなっても通信ができるのはそのためです。



4層 アプリケーション層


利用者が使うアプリケーションが通信できるようにするためのプロトコルを定めている層です。その一つの例にWebサイトを閲覧する場合は、HTTP ( HyperText Transfer Protocol ) と呼ばれるプロトコルを使用しています。クライアントであるブラウザからサーバーに対して情報を要求 ( HTTPリクエスト ) し、それに応じた内容がサーバーから返却( HTTPレスポンス ) されています。また、メール送信にはSMTP ( Simple Mail Transfer Protocol ) 、ファイル転送にはFTP ( File Transfer Protocol ) を使用しています。


ドメイン名とDNS


Webブラウザのアドレスバーにある「www.amazon.co.jp」というこの文字列をドメイン名と呼びます。DNSを利用することでドメイン名から宛先のIPアドレスを特定できるようになっています。また、DNSとは、Domain Name Systemの略で、Webページや電子メールのドメイン名とIPアドレスの対応づけを管理しているもののことを言います。以下の図を参考に説明すると、ブラウザから「https://www.amazon.co.jp」と入力するとAmazonショッピングの画面が表示されますね。この仕組は、まず「amazon.co.jp」のIPアドレスをDNSサーバーに問い合わせています。そして、ルートDNSからツリー状にドメインが連なっており、「jp」→「co」→「amazon」の順にサーバーを追っていくことで最終的にIPアドレスが取得できるという仕組みになっています。


◆URLについて



◆DNSについて


 


SMTP( Simple Mail Transfer Protocol )


SMTPについても少し説明をします。みなさんが普段使っているメールシステムの仕組みですね。これは端末同士が直接メールをやりとりしているのではなく、一度メールサーバーにメールを送り、届け先のサーバーのIPアドレスをDNSサーバーに問い合わせることで送ることができています。また、受信する側もメールサーバー上にメールが届くので、これをダウンロードなどすることでメールの中身を見ることができています。ちなみに別の端末でメールを見た時にメールが消えているなどの経験があるでしょうか。これは受信側の設定が問題です。受信側にはPOPIMAPという設定があり、POPはメールサーバーからメールをダウンロードするプロトコルで、IMAPはメールサーバーにあるメールを読むプロトコルになります。POPの場合、メールをダウンロードするため、サーバー上のデータを一定期間で削除する設定があります。これにより、別の端末でメールを見た時にメールが消えてしまったという問題になったということなんですね。ただ、現在はGmailなどのWeb上でメールを使うことが多く、Webメールの場合はメールサーバー内のメールを操作しているので、メールが消えてしまうという事象はあまり見かけなくなっています。



3層 トランスポート層


アプリケーションを識別し、通信の信頼性を定義している層です。代表的なプロトコルには、TCPUDPがあり、2層インターネット層のIPがデータを宛先に届ける役割を担っています。その上で、 TCPとUDPのどのプロトコルを使うかを決める必要があり、通信性の用途によって使い分けされています。


TCP


通信相手にデータを確実に届けるプロトコルで、通信中にデータの欠落などを検知すると、データを再送するはたらきがあります。Webページ、電子メール、SNSなどデータの欠落を防ぐために信頼性を重視した場面でTCPが使われています。以下の図はデータを再送する仕組みを説明しています。データを送る際はパケットに分割して送られますが、それぞれのパケットには何番目のデータであるかの情報が付与されています。受け取る側はそれを確認し、届いたことを確認応答することでサーバー側が続きのデータを送っていきます。この応答がない場合に、サーバー側は再送するようになっています。また、受け取る側は同じセグメントのデータを受け取った場合は、もう一度確認応答を送信し、データを破棄しています。ちなみにこの確認応答をACK(アック)と呼んでいます。



UDP


リアルタイム性を重視する音声電話、動画のストリーミングに使われるプロトコルです。送受信するデータの欠落を検知するはたらきなどがなく、即時性を求めて速さを重視した場面でUDPが使われています。ゲーム実況の生配信などはこの仕組が使わています。



まとめ


いかがでしたでしょうか。Web検索やメール、動画視聴など、身近に使っているシステムの裏側について理解して頂けましたでしょうか。これらの通信ルール(プロトコル)に則ってシステムが動いています。これらは大学入学共通テストの試験範囲にもなっており、近いうちに社会人の一般常識にもなっていきます。続きの2層「ネットワーク層」、1層「ネットワークインターフェイス層」については、来月に記事を書かせて頂きます。最後までお読み頂き、ありがとうございました。


参考文献:


黒上晴夫、堀田龍也、村井純、「情報Ⅰ」、日本文教出版株式会社、2022年1月


 

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